2014年8月1日金曜日

夏の風物詩 


子供のころ、「怪奇特集 あなたの知らない世界」というのをTVでやっていた。
心霊ドラマがメインの昼から30分ほどの企画で、夏には1~2週間ほど毎日やっていたように思う。

番組に寄せられた「視聴者の体験談」に基づいたドラマを、あまり見かけない俳優陣(失礼)が独特の空気感で演じていた。
大の大人たちが霊に追いつめれていく様に、私は「人力がまったく通じぬ霊こそ最強」「狙われたら最後」と戦慄を覚えながら、田舎のおばあちゃん家のトイレに一人で行けなくなる、風呂場で背後の気配と格闘したくなる、などの深刻なリスクを引きうけながら、欠かさずチェックしたものだ。


思い返すと、かつてのそんな番組が培った「悪いことをすると呪われる」という思いはけっこう長いあいだ私の心にあり、今なお潜在的に、ある種の力を有しているように思う。


近年、そうした心霊番組は減ってしまった。
これは「殺人など残酷な部分が教育上よくない」「怖くてトラウマになった」「科学的根拠もないものを勝手に作るな」…etcの意見・クレームを制作側が配慮して、自主規制しているためというが、私はそうした番組が持っていた良い面も失われた気がしている。

“祟(たた)り”にまつわる物語は、古来から日本において道徳教育を補完する役目を担ったのではないだろうか。
『貞子』以降の過剰にモンスター化したものでない、身の回りの普通の人の想いとして立ち現れる霊の悲しみの姿を通して、思いやりの心が育った面もあったのではないか。
無宗教な今の日本こそ、幽霊が活躍すべき場かもしれないと思ったりする。


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