2015年4月10日金曜日

うつになったら「考えごと」をやめる 2


うつ病になってから、私はいつもコンディションの「変化」に悩んでいた。
何をしたわけでもないのに体調・内面の感触がコロコロ変わる。
常に後手の対応を迫られ、疲弊した日々を過ごしていた。

当時は「なぜ何もしないのにこんなに体調が変動するんだ?」と、戦々恐々と過ごしたが、今にして思えば「何もしないのに変化する」という認識は正確ではない。
本当に何もしていないのなら何かが変わるはずがない。
実際には「問題となる行為」を無自覚のままにしていたのである。
それは、「考えごと」であった。

これまで再三にわたって「うつ病では自らの身体感覚に無頓着なのがダメ」と述べてきた。
実はその身体感覚の無視の多くは、「考えごと」の最中に自動的に生じているものだ。
考えごとをするだけで、意識は身体感覚から離れる
前回述べたように、考えごとは基本的に「視点を他者に移す=主体を明け渡す」行為であり、その内容の健全さに関係なく身体感覚の受け止めを希薄にさせる方向に働く。

うつ病などの回復が難しいのは、「考えごと」の危険性が認識されていないからだと私は思う。
うつ病になっても当然それまで同様、思うがまま「考えごと」くらいする。当たり前である。
しかし、実はそうしながら無意識に自らの病気に燃料を注いでいるのである。
これは恐ろしい事実だ。
ついでに言えば、病気の不調により「心配」という「考えごと」が増大しているのだ。

「身体の感覚を感じ取る」よう心がける時間を増やそう。それにより自動的に考えごとも減るので心配いらない。
ただ差しあたり「考えごとの危険性」を認識しておいてほしい。
それはあまりに私たちにとって身近なものである。
そしてそれは私たちをあまりにもたやすく「身体感覚の無視」状態へ導くということを、病人はゆめゆめ忘れてはならない。
そのことの理解が、様々な場面で生きてくる。



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